当院ではオゾン療法のひとつである、血液クレンジング療法(大量自家血液オゾン浄化法;MAH)を行っております。
血液クレンジング療法は40年以上前にドイツで開発され自然治癒力を復活&強化する療法としてヨーロッパでは広く認知され一般に行われている治療です。
最も盛んなドイツやイタリアでは1万人以上の医師が年間100万人の患者に行っているそうです。
英国のエリザベス女王の母君クイーンマムが老化予防のために定期的に血液クレンジングをやっていたのは有名な話だそうですが、最近TVなどでも教育評論家の○○ママさんや女性芸人のバ○ビーさんなども美容のためにやっているのが放送されたりもしてますね。
血液クレンジング療法とは動物から採血した血液にオゾンガスを混ぜ合わせて反応させる治療法です。
治療するにあたって用意するものです。
この治療を行う前に必ず一般血液検査、甲状腺機能検査、G6PD欠損症検査を行います。
また妊娠している動物や、過度な消耗がみられる動物には行いません。
検査をクリアしたらまずは一定量の採血を行います。
自家血液にオゾンガスを注入し混和しているところ
オゾンガスと血液との反応は速攻で始まり、オゾンガスが血液の入ったシリンジ内に全て充填された段階で酵素と活性化された赤血球のみとなり、オゾンはすでに消失しています。
オゾンと反応させた血液を輸血しているところです
写真に写っているのは病院猫のジャイ子さんです。
ジャイ子さんは半年前の定期検診で腎機能の数値が上がってきまして、定期的な皮下点滴と降圧剤を投与していたのですが、8月の検診でさらにBUNとCREA値が上昇し、腎性の貧血も始まったので血液クレンジング療法を週に1回開始しました。
現在は皮下点滴を週3回、肝局所ハイパーサーミアを週1回、オゾン注腸療法を週2回、血液クレンジング療法を週1回、ビタミンカクテル静脈点滴を週1回と降圧剤と制酸剤の投与を行っています。
血液クレンジング療法の効能は以下になります。
①体内の酸素化(特に虚血部位)
②末梢血流の増加、NOの合成(→血管拡張作用)
③内因性幹細胞の稼働化(骨髄幹細胞、間葉幹細胞、血管内皮前駆細胞の稼働化による組織の修復再構成、新規血管の誘導)
④細胞の活性化(細胞内ATPの上昇)
⑤免疫機能の向上(オゾン反応による単球からのサイトカイン放出)
⑥抗酸化酵素の増加(慢性酸化ストレスの抵抗性向上)
⑦酸化ショック蛋白の誘導(虚血・毒性化合物・感染・放射線などに抵抗性と自己治癒力が向上、癌細胞の抗原性提示)
この総合力が自然治癒力と言われています。
ヒトの医療の分野では血液クレンジング療法で効果が期待できる疾患として、
❶ウイルス疾患(HIV、HBV、HCV、HPV)
❷虚血性疾患(糖尿病、脳疾患、心疾患、腎不全)
❸網膜変性疾患(緑内障、加齢性黄斑変性、糖尿病性、視神経炎)
❹神経変性疾患(パーキンソン、アルツハイマー、痴呆症、ALS)
❺自己免疫疾患
❻メタボリック症候群
❼慢性疲労症候群、線維筋痛症
❽整形外科領域の疼痛症状
❾皮膚疾患(乾癬、アトピー)
❿歯科領域
⓫癌治療(腫瘍の血流改善、全身の代謝改善、抗酸化能の改善、免疫系の強化、神経内分泌活性化→QOLの向上)
このように様々な症状に対して一般的な治療と併用して行われています。
今回は当院の腎不全を患ったジャイ子さんに対して行っていますが、オゾン療法の血管拡張作用による血流の増加によって腎ろ過率を維持し、幹細胞稼働化による組織の修復能力による腎障害進行の遅延、体内の酸素化とATP(=エネルギー)の増加・免疫の強化・抗酸化酵素の増産によるストレスの抵抗性向上を目的としています。
治療時間ですが約30分~60分ほどで終わります。
飼い主さんと離れるのがストレスになる子は、診察室で抱っこしてもらった状態で治療をすることもあります。
オゾン療法を希望される方は、治療前の説明に時間がかかりますので余裕のある時間帯での診察をお勧めします。