オフィシャルブログ

光免疫誘導治療(ICG-lipo)中のらんまるちゃん

光免疫誘導治療のために近赤外線レーザーを患部周辺に照射中のらんまるちゃんです。

らんまるちゃんは去年左頬部に腫瘍が発生しかかりつけ医にて摘出してもらったところ、「悪性末梢神経鞘腫」と診断され、同部位に2カ月後に再発したため9月に当院に来院されました。

腫瘍の特徴から抗腫瘍治療として放射線療法や抗がん剤治療への反応が乏しいことが予想されるため、10月に日本動物高度医療センターにて拡大切除を行ってもらったのち、当院にてオゾン療法丸山ワクチン漢方を術後緩和療法として開始し、光免疫誘導治療を12月から開始しました。

表在性腫瘍のため週に1回のICG-lipo(インドシアグリーン修飾リポソーム)の静脈点滴とレーザー照射のための通院、自宅でのレンタルレーザーの毎日の照射を飼い主さんに行ってもらっております。

現在4クール目(1クールが3週間)ですが完全寛解状態を維持しています。

本日もレーザー照射にお母さんと来てくれたのですが、身体検査が終わり、さあこれからレーザーを当てようと準備していたら、らんちゃん自ら僕の方に一歩進んでグイっと身体を寄せてきてくれまして(笑)。「どうぞ」って感じで。

その光景を見てお母さんと共に大笑い^^。

1クール目の時は「嫌だよぉ、何するんだよぉ」とばかりに前肢を使って抵抗していたのですが、2クール目以降はお行儀よくお座りして大人しくやらせてくれるようになり、本当にお利口さんです。

経験上、顔周囲にレーザーを当てるのは嫌がる子がほとんどで、しかも1回15分当て続けますから、途中で集中力が切れて動き回ってしまう子が多いです。

ですので治療する側もとても助かってます。

 

 

 

光免疫誘導治療とは鳥取大学獣医学部と千葉大医学部の共同研究の治験です。ICG-lipoが腫瘍組織へ特異的に集積する特徴を利用した治療です。

①近赤外線照射による熱と活性酸素の生成

②ICG-lipo内包薬剤による抗がん作用

・アンサー20(丸山ワクチン):自然免疫誘導

・ルペオール:抗炎症作用

・カルボプラチン:DNA合成阻害、アポトーシス誘導

・ブレオマイシン:DNA合成阻害、DNA切断作用

・パクリタキセル:細胞分裂阻害

・ビンクリスチン:細胞周期(中期)停止

③近赤外線照射による免疫誘導

以上の性質を利用した抗ガン治療となります。標準治療(外科、化学療法、放射線)と併せて治療を行ったり、標準治療による効果が期待できない場合においても選択肢のひとつになります。

もちろん効果のある癌と効果が得られない癌もありますが、完全寛解~部分寛解における治療反応率は6~7割というデータが出ています。

癌を慢性疾患として考え、癌を0(ゼロ)にする事を目標にするのではなく、癌と共存していく治療として当院で行っております。